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インターンプログラムを通して見ているのは10年後のエンジニア、10年後のインターネット業界。常に先を見据えて人材育成と社会貢献に取り組むはてな

株式会社はてな
2001年に設立・創業し、インターネット関連の自社サービスを展開。ブログホスティングサービス「はてなブログ」やソーシャルブックマークサービス「はてなブックマーク」がエンジニアを中心に人気のほか、現在はサーバ監視サービス「Mackerel」や、株式会社KADOKAWAと共同開発したWeb小説サイト「カクヨム」、出版社向けのマンガビューワや、株式会社集英社と共同開発したマンガ投稿・公開サービス「ジャンプルーキー!」などのコンテンツやエンタメに関連した事業にも力を入れている。


株式会社はてなが掲げるミッションは「『知る』『つながる』『表現する』で新しい体験を提供し、人の生活を豊かにする」。2001年の創業以来、インターネットがある生活が豊かに、楽しく、創造的になることを目指して、様々なインターネットのサービスを展開。インターネットの将来を見据え、エンジニア学生向けのインターンも早くから実施し、新卒採用・育成に注力してきました。

近年はマンガや小説などエンタメ領域の事業にも積極的に取り組んでいる同社が、さらにインターネットでこれからの可能性を広げていこうとしている中、学生エンジニアにもっと体験の場、活躍の場を持ってもらうことで、新しい出会いや発見をしてほしいという思いがあるようです。株式会社はてな 取締役 組織・基盤開発本部長の大西康裕さんに、サポーターズ代表 楓が話を聞きました。

新卒エンジニア採用・育成のポイント

  • 事業も人材育成も、「10年後のインターネット業界」を見据えて展開

  • インターンには早くから注力、学生が実サービスのリリースまで経験

  • 学生が多くの人、企業と触れ合い、新しい自分を発見するための取り組みも


15年前、新卒採用とインターンを同時スタート

― 御社は創業以来ずっと、インターネットに関わる事業を手掛けてきましたね。

はてな 取締役 組織・基盤開発本部長 大西康裕さん

大西さん  創業は2001年で、当初は「はてなブログ」「はてなブックマーク」といった自社名を冠したサービスが主力でした。エンジニアの皆さんにサービスを使っていただいて、はてなという会社も自然に知られていきました。近年の、サーバ監視サービス「Mackerel」や、マンガ、小説などエンタメ領域の企業様との共同開発への取り組みも、もっと知っていただけると嬉しいです。例えば集英社様の「少年ジャンプ+」などは多くの人が利用していますが、実はそのWeb版の裏側をはてながつくっていることはあまり知られていません。私たちは創業以来ずっとインターネットに関するサービスを提供してきましたが、サービス内容が変化し、それに伴ってユーザーの皆さんとの接点の取り方も変わってきたということです。

― エンジニアの新卒採用を始めたのも早い時期でしたね。

大西さん  エンジニアの新卒採用を始めたのは2008年です。現在、約90名のエンジニアのうち新卒入社が40%と、新卒比率も高いです。CTOも、そのすぐ下にいるチーフエンジニア5名のうち4名も、新卒入社です。新卒採用を行うと、常に若い人が会社に入ってくるので活性化し、新しい刺激を受けられます。新卒採用をスタートするのと同時に、サマーインターンの実施も始めました。当社では新卒採用にかけるコストのうち、ほとんどがこのインターンに関するものです。

― 確かに、「はてなといえばインターン」というイメージが強いですよね。それに、御社のインターンは単なる新卒採用の手法に留まっていないように感じます。御社にとってはどんな重要性があるのでしょうか。

大西さん  当社のインターンのキャッチコピーは「10年後の自分をつくる」。これはこの5年変えていません。学生には10年後の自分を見据えて成長できる場所を選んでほしいという思いがあります。同時に、はてなの10年後、インターネットの10年後、世の中の10年後を見据えて、インターンを実施し続けてきました。
参考) Hatena Internship

― 10年後のインターネット業界を創っていく人材の育成――御社のこの考え方が、インターンにもしっかり息づいているということですね。

大西さん  楓さんがおっしゃってくださった「はてなといえばインターン」という言葉通り、インターンが会社のブランドづくりになっていることは感じています。講義+実践というプログラムは現在いろいろな会社が実施していますが、おそらくはてなのインターンが発祥ではないかと。15年間続けてきたので、はてなには入社していなくても、インターネット業界の第一線で活躍しているいろいろな人がはてなインターンから出ています。そういう意味では社会貢献にもなっていると思います。

学生がユーザー向けサービスのリリースまで。濃密な体験になる

― 具体的には、どんなプログラムでインターンを実施しているんですか。就業型の実践的なプログラムなんでしょうか。

大西さん  はてなのインターンは小ぢんまりしていて、毎年10名くらいの学生を招いています。期間は約3週間。プログラムの構成は初年度からずっと同じで、前半が講義、後半が実践の2部構成。教育型+就業型のインターンです。

前半にWebプログラミングを一通り学びます。例えばHTTPやデータベースなどから、最近ではコンテナ技術やオーケストレーションまで踏み込んで、Webサービスをリリースするまでの技術の講義になっています。それに加えて、毎年異なるテーマ、例えば企画、デザインなどのテーマで、社内プランナー、デザイナー、ディレクターが講義を行っています。

後半はユーザー向けのサービスの開発を、リリースまで経験してもらいます。この「リリース」にはこだわっています。会社を代表するサービス、例えば「はてなブログ」や「はてなブックマーク」などの開発チームに実際に加わって、期間内に社員と一緒にユーザー向けのサービスをリリースします。リリース後は「はてなブックマーク」を通してユーザーフィードバックを受けられるので、時間があれば改善もします。きわめて濃密な体験ができるのが特徴です。

― どうしたらそのような質の高いインターンプログラムを実施できるんですか。実施にあたっては現場のエンジニアの工数も注ぎ込まなければならないはずで、なかなか難しいことだと思うのですが。

大西さん  はてなのインターンは、わずか数名で企画運営しています。このスタッフはインターン専任ではなく、通常業務のかたわら携わっているのですが、学生にとってはもちろん、企画運営スタッフにとっても大切な思い出になっているので、私たちはインターンのことを「忘れられない夏」と呼んでいるくらいです。当社では、学生がインターンで濃密な体験をして入社し、中堅のエンジニアに育ったら、今度は運営する側にまわるというサイクルができ上がっています。ですから、企画運営スタッフはほぼはてなインターン出身者で、「自分がインターンを主催してようやく自分自身のインターンも完了する」という意識があるようです。

実サービスのコードもミーティングもリアルに全部見せる

― 学生は御社のインターンに参加して、どんな新しい学びを得られますか。ぜひ、御社ならではの学びポイントを教えてください。

はてな 取締役 組織・基盤開発本部長 大西康裕さん

大西さん  インターン参加者は実際にユーザー向けサービス開発に取り組み、プロダクトとして出すコードを書きます。私たちはそのサービスをその後もずっとメンテナンスし続けるわけですから、プロのレベルのコードを書いていただくために、インターン参加者に対してもきっちりしたレビューを行います。さらに、就業型インターンといっても、学生が実際に見ることのできる範囲は会社によって様々かと思いますが、はてなではNDA(秘密保持契約書)を交わした上でかなりディープな部分が見られます。実際のサービスに触れてそのコードを見られるだけでなく、コードに付随したディスカッションからドキュメントまで、それこそ全部です。

― インターンに参加した学生を見て、成長を感じるのはどんな時ですか。

大西さん  学生の中には、理論系は強いけど実際に動くものをつくったことがなかった人や、自分でサービスをつくっていても多くのユーザーに向けて出したことがない人もいて、「本物の開発の流れを知ることができた」「自分の書いたコードを他人にこれほどまで読んでもらったのは初めて」と言ってくれます。そういう人たちの「はてなインターンでサービスをリリースして面白かったから、進路が決まりました」という言葉を聞くと、良い体験をして成長してもらえたなあと思います。

多くの人と触れ合うことが新しい自分の発見になる

― 早くから独自のインターンプログラムを実施し、エンジニアの採用・育成に力を注いできた御社が、このタイミングでなぜ技育プロジェクトへの参加を決めたんですか。

大西さん  技育プロジェクトは単なる新卒向けの採用イベントではなく、学生エンジニアをしっかり育てるという長期的なテーマを設け、学生エンジニアに活躍の場、体験する場を与えています。こういう点は、はてながインターンでこれまで行ってきたこととすごく近くて、サポーターズさんとはてなの理念が合っていることを感じます。ですから、これまで以上に学生との接点を増やしたいと考えた時、技育プロジェクトに参加するというのはとても自然な流れでした。

― インターネット業界で実績のある御社ですが、技育プロジェクトに参加することで、学生に改めて伝えたいことがありますか。

大西さん  これまで、はてなは「良い技術で良いものをつくったら、自然に皆さんに使ってもらえる、知ってもらえる」という古典的世界観を持っていました。けれど今は、自分たちがもっと積極的な発信を行わなければ、伝えたいことが届かないと感じています。ですから、技育プロジェクトも、はてなの取り組みを学生たちにしっかり伝えて分かってもらう場にしたいです。はてなインターンに来る学生たちはみんな優秀なんですが、「周りの人が優秀過ぎて…」と自信を失くしがちです。自分の良いところ、優秀なところというのは、大人数で触れ合わないと認識できないこともあるので、ぜひ技育プロジェクトで人と触れ合い、繋がりを持って、新しい自分を発見するきっかけにしてほしいです。

企業のありのままの姿を見て、選択肢を広げてほしい

― 確かに学生にとって、いろいろな企業、いろいろな人に触れることは大切です。御社だけでなくいろいろな企業のことを知って、その上で御社への入社を決めてほしいという思いもありますよね。

大西さん  そうなんです。ここ2、3年はコロナ禍で、学生が研究室の先輩やそれ以外の社会人に会う機会も、企業訪問の回数も極端に減り、キャリア観が醸成されないまま就活を迎えている感があります。就活中の学生には、ぜひ「はてなブログ」の中の「企業技術ブログ」も見てほしいです。

「はてなブログ」は個人のエンジニアの方だけでなく、実は400社以上の企業様の「技術ブログ」のプラットフォームに使っていただいています。できるだけ多くの企業様に技術発信をしていただけるように、専用のプランプランもご用意しています。この「企業技術ブログ」のページでは、各企業が自社の最新技術を話題にしているだけでなく、企業のカルチャーとか働き方、時には失敗談なども載せているので、就活生にとってはその企業のありのままの姿を知ることができます。「自分が知らなかった企業が、こんな技術発表をしているんだ」という新しい知識も得られます。400社もあるので、いろいろな企業をここで知ってもらって、選択肢を広げてほしいと思います。

― 御社では提供しているサービスからエンジニアの採用・育成、インターンのプログラムにまで、本当にインターネット業界に貢献しようという思いが根づいていますね。

大西さん  そうですね。「はてなブログ」というサービスには、そもそも技術系企業の皆さんに、技術発展のために使っていただきたいという思想がありました。はてなの企業活動には、技育プロジェクトへの参加も含めて、その根底に「インターネットの10年後を育てよう」という思いがあるという点で一貫しています。