もはや「広告だけの会社」ではない。電通が新卒デジタル人材採用を強化する理由
「広告の会社」というイメージが強い電通だが、実はデジタルクリエイティブやデータサイエンス領域でも事業を展開し、DX人材やデータサイエンティストの採用にも力を入れています。新卒採用担当の谷口由佳さん、金子悠太郎さんに、実際の仕事内容や現場で求められるエンジニア像について聞きました。
新卒エンジニア採用・育成のポイント
エンジニアリングスキルだけではなく、それをビジネスに生かせるかが重要
入社後はスキルを持った人と、事業をより深くやってきた人がチームに
電通=広告の会社というイメージが強いので、デジタル、データ領域でも活躍の場があることをしっかり伝える
AX、BX、CX、DX――4つのXで、新たな価値を提供
金子さん 私たち電通の事業は、AX、BX、CX、DXの4つに分類されます。
AXとは、私たちが長年強みとしてきた広告を高度化し、さらに成長させていくような「アドバタイジング・トランスフォーメーション」を指します。BXは、事業全体の変革を見据えた「ビジネス・トランスフォーメーション」。CXは、クライアントや私たちのコンテンツに触れる世の中の人々の体験を再設計、あるいは変革していくような「カスタマー・エクスペリエンス・トランスフォーメーション」。そして、これらの事業を実現するためには、さまざまなテクノロジーを駆使して柔軟な対応ができるよう、DX、「デジタル・トランスフォーメーション」が不可欠です。
世の中の期待に応える手段は一つではありません。時代や必要性に応じて、戦略から実現までを担っていくのがわれわれの使命だと思っています。
楓 もはや広告の会社ではないということでしょうか?
金子さん そうですね。私たちは「Integrated Growth Partner(インテグレーテッド・グロース・パートナー)」といって、変革や成長が求められるクライアントや世の中にとって最適なパートナーを目指しています。
必要なのは、エンジニアリングスキルだけではない
楓 新卒採用においても、テクノロジーやデジタル分野に興味のある方やデータサイエンティストの採用に力を入れていますね。大切にしているポイントは何ですか?
谷口さん 私たちは、エンジニアリングのスキルだけではなく、それをどうビジネスに生かすかが重要だと考えています。ですから、専門職ではなく総合職としてDX人材を迎えています。社内には、自分でプログラムを組むだけではなく、プロジェクトマネージャーとして多様なスキルを持ったエンジニアをまとめることで、ビジネスに貢献する社員もたくさんいます。
楓 入社後はどんな先輩方と働くことになるのでしょうか?
谷口さん デジタルクリエイティブやデータサイエンスを専門にやってきた社員もいれば、全く別の事業領域で経験を積んできた社員もいます。ITスキルを持った人と、事業をより深くやってきた人が一つのチームになるからこそ、これまでにないような新しいものが生み出せるのだと思っています。
とにかく好奇心旺盛で、興味の幅が広く、何でも挑戦してみたいと思う方にはぴったりな職場だと思います。
電通におけるデータサイエンティストの仕事とは
楓 電通のデータサイエンティストはどんな仕事をしているのでしょうか?
谷口さん 電通では人の気持ちをデザインして行動を促すことを起点に考えています。その中でデータ領域のお仕事でいうと非常に多岐に渡ります。例えばターゲット層の行動や普段接触しているコンテンツなどを分析し、どんなタイミングでどんな施策を行うと効果的なのか検証しています。分かりやすいものでいうと「このドラマの視聴者は、こういう行動をする傾向があるから、このタイミングでこの商品のCMを打つといいのでは」といったことを考えていくようなイメージです。そしてさまざまな施策に対してデータをもとに効果を検証し、次のプランを考え、PDCAを回していきます。
また、クライアントや媒体社の購買データなどを分析し、ビジネスに生かしたり、生活者のプライバシーに配慮しながら、安全にデータを活用できるプラットフォームの開発も行っています。
自分で手を動かせる人であれば、自らプロトタイプを作って提案に持っていくこともありますし、実際にものづくりをするためのチームもありますよ。
楓 電通が実際に作るところまでやっているというのは、学生にとって意外なのではないでしょうか。
谷口さん そうですよね。「これがやりたい」と思ったことを具現化できる強さと言いますか、スキルを持ったメンバーはたくさんいます。1人でやるには膨大な時間がかかるのでチームで取り組むこともありますし、パートナー企業と協力して進めることもあります。
楓 インターネット広告の領域ですと、アドテク(アドテクノロジー)と言われる最適な人に最適なコンテンツを届けるという手法が主流になってきています。一方、電通のような統合ソリューションが追求しているのは、もう少し違うもののような気がします。
金子さん もちろん電通もインターネット広告を扱っていますが、電通が得意とするのは、インターネットとテレビ、インターネットとリアルな体験をかけ合わせたメディアミックスによって、人の心の変化、行動の変化を生み出していくことです。感動やインパクトといった点では、間違いなくスケールの大きな仕事ができると思っています。
デジタルのイメージがない電通は、エンジニア学生にどうアピールしているのか
楓 電通に「デジタル」「データ」「ものづくり」といったイメージを持っている学生は、まだそう多くはない気がします。学生の皆さんへの伝え方で工夫されていることはありますか?
谷口さん おっしゃる通り、電通がテクノロジー領域に力を入れていることを知っている学生さんは、まだまだ少ないと思います。そこで今は、学生の皆さんのところに出向いてお話を聞いてもらう、ということを続けています。例えば、理系学生向けの就活イベントに出展し、ロゴが出ているだけでも「電通も理系の学生を採用しているんだ」と気づいてもらえたりするんです。また、ここ3年は、電通データサイエンスインターンシップという就業型インターンシップを実施しています。
金子さん 僕自身、学生時代はプログラミングを専攻していたので、「エンジニアとしてITの会社に就職するんだろうな」と思っていました。そんなとき、たまたま参加した合同説明会で電通の話を聞き、「電通って広告だけじゃなく、デジタルマーケティング基盤から人の心を動かすところまで、全部やってるんだ」と初めて知って興味が湧いたんです。
ですから、「こんなこともしている会社なんだ」と知ってもらえるよう、地道に伝えていくしかないと思っています。
楓 実際にエンジニア学生と話をすると、どんな反応が返ってきますか?
金子さん 面白がってくれる学生が多いです。例えば、AIを使ってマグロの尾びれの断面からから味の良し悪しを判定する「TUNA SCOPE」というアプリの開発についてお伝えしたときは、プログラムを組む前の課題発見に始まり、世界で使われるようなプロダクトを作り上げていくという話に目を輝かせながら聞いてくれました。電通は、クリエイティブな発想を生かしたいとか、自分のアイデアを形にしたいと考えるエンジニア学生にとって、強みを存分に生かせる環境が揃っていると思います。
サポーターズを使って良かったこと
楓 サポーターズの採用イベントにも出展してくださっています。どんな印象ですか?
谷口さん サポーターズは、エンジニアを目指す学生が多いのはもちろん、データサイエンスにも興味があるとか、マーケティングをやってみたいとか、志向の多様性を感じます。
金子さん 電通に興味を持ってくださった皆さんの中には、「誰も思いつかない、突飛な発想を持っていないといけないのか?」と思われる方もいるかもしれませんが、全くそんなことはありません。抜け漏れなくアルゴリズムを考え、きちんと順序立て仕事ができる人も必要です。これは理系の皆さんが得意とするところですよね。
サポーターズのイベントは、他の採用イベントとちょっと違うと感じています。質疑応答では、学生の皆さんが課題の本質をつくようなドキッとする質問をくれたりするんです。常識を疑ったり、物事を別の視点で見たりすることって、すごく大事なことだと思います。これからも、そんな強みを持った学生に出会いたいなと思っています。