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コンテンツ関連事業の新領域へ踏み出しているメディアドゥ

株式会社メディアドゥ
出版社と電子書店との取引を仲介する電子書籍取次のリーディングカンパニーの株式会社メディアドゥ。電子書籍の流通総額は国内首位、世界第2位の約1,900億円(2022年度)を誇る。「著作物の健全なる創造サイクルの実現」をミッションに掲げ、電子書籍流通のインフラ整備におけるパイオニアとしての役割を担い続ける一方、近年はNFTサービス「FanTop」をはじめ、書籍に留まらないデジタルコンテンツ関連の新規事業へも活動の幅を広げている。


主力事業として電子書籍流通事業に取り組むメディアドゥですが、実はコンテンツビジネスに関わる新規事業にも積極的に乗り出しています。主力となる電子書籍流通のシステムの大刷新に取り組みながら、まったく新しい技術による新規プロダクトの開発に挑戦するチャンスもあるという、エンジニアにとってはワクワクする環境です。

新卒入社のエンジニアに入社3年目には要件定義から設計、実装、テストと一連の流れをすべて任せ、システム開発を広く鍛えて伸ばす教育方針。ビジネスへの感度が高く、自ら課題を見出して解決し切る実行力を持ったエンジニアを育てたいと言います。株式会社メディアドゥ開発部長の関隆多さん、新卒入社エンジニアの大森涼さん、エンジニア採用マネージャーの太田友晴さんに、サポーターズ代表 楓が話を聞きました。

新卒エンジニア採用・育成のポイント

  • 自ら課題を設定し、自ら解決の道筋を立てて取り組んだ経験が大きな採用の指標

  • エンジニアに早い時期から大きな裁量を持たせて育成

  • 新しい領域に踏み込み、実行力を発揮するチャンスも


電子書籍を扱う出版社の99%と取引、電子書籍流通のインフラとして機能

―電子書籍は学生たちにも身近なものだと思いますが、御社は電子書籍のビジネスのどこをどのように担っているのですか。

太田さん メディアドゥグループ全体では、コンテンツの創出、流通、書店や電子図書館のようなエンドユーザーがコンテンツを楽しむところまで、海外のグループ企業も含めて幅広く扱っています。
親会社となるメディアドゥも様々な事業を展開していますが、その中でも電子書籍流通事業が主力事業ですね。

電子書籍流通とは、出版社が電子書籍を書店や読者にそのまま配信するのではなく、出版社からお預かりした電子書籍データを電子書籍流通システムに登録し、そのシステムから各電子書店またはユーザーに配信する仕組みです。

当社の一番の強みは、電子書籍を扱う出版社の99%にあたる2,200社以上と取引がある点です。さらに150店以上の電子書店との取引もありますので、電子書籍流通の真ん中にメディアドゥがいることになります。出版社からすれば電子書籍データをメディアドゥを通して多数の書店に流通させることができ、書店からすれば多数の出版社の電子書籍を取り次いでもらうことができます。

― 御社が電子書籍の領域でここまでのシェアを獲得し、パイオニアとして重要なポジションを占めるようになれたのはなぜですか。

太田さん  大きく2つの要因で出版業界におけるシェアを拡大していきました。1つ目は電子書籍ビジネスの初期から流通事業を手掛けており、当時メジャーではなかったスマートフォン向けシステムの開発にもいち早く着手するなど、社会の流れに迅速に対応できていたベースがあったこと。2つ目は当社が開発したシステムを大手出版社が導入いただけたことで、営業の突破口が開けたことです。

― それで御社のシステムが出版業界のインフラになったわけですね。そこには技術面でどんな貢献があったんですか。

関さん  多くの出版社と書店をつなぐシステムですから、常にデータ量の大きさを考慮してトラフィックを捌く必要があります。事業を拡大するたびに扱う書籍のボリュームも増えてきたので、それに合わせて都度開発を続けられてきた技術力が当社の強みだと思っています。

主力事業+新規事業で、自ら動けるエンジニアを求める

― 大量のデータを安定的に速く処理する技術が求められるわけですね。そうした中で、エンジニアの新卒採用はどのように進めてきたんですか。

太田さん  実は私が2021卒から新卒エンジニアの経験者採用を立上げ、以降毎年4〜5名採用しています。採用指標のひとつにしているのは、自身で課題・目標を設定し、自ら解決の道筋を立ててそれらに取り組んだ経験の有無です。依頼されたものを忠実につくるエンジニアも大事ですが、自らあるべき姿を描き、自ら手を動かしてみようとする積極性や技術的興味を持っているエンジニアが必要だと考えています。

― 先ほどの御社の事業の話を聞いていると、求められているのは出版業界のインフラにふさわしい堅牢なシステムというイメージですが、自分で考えて自分で動き、新しいものに挑戦するチャンスも御社のエンジニアにはあるんでしょうか。

太田さん  電子書籍流通事業については10年以上の電子書籍流通の歴史やノウハウを踏まえた堅牢なシステムをつくる必要があります。一方で、新規事業についてはゼロから新しいプロダクトをつくり上げる力が必要になり、当社の場合はその両面が求められます。

例えばここ数年で特に力を入れている新規事業としてFanTop事業があります。これは当社で開発したNFTサービス「FanTop」を通じて画像、動画、音楽などのNFTのデジタルアイテムや電子書籍をユーザーに届けるほか、現在は特に物理の本にNFTアイテムをつける取り組みを推進しています。
具体的には、リアル書店で紙の本を買うと本にQRコードが付録としてついており、そのQRコードを読み取るとFanTop上でNFTのアイテムをダウンロードできます。NFTアイテムには画像、動画、音楽など様々な種類があり、従来の物理本の付録の電子版だと思っていただくといいかもしれません。加えて、最近のアップデートで物理本と同じ内容の電子書籍やアナザーエンディングなどが読めるNFT電子書籍をFanTop上で入手・読書できるようにもなりました。
マーケットプレイス機能でそれらのアイテムや電子書籍をユーザー同士で売買することができ、電子書籍の二次流通市場を創出した側面もあります。FanTopは今まで本の流通をメインに手掛けてきた当社が、技術力と出版業界でのポジションを活かして本の新たな価値を創出する新規事業に取り組んでいる例です。

関さん  電子書籍流通事業のシステムも現在全面リニューアルに取り組んでおり、業界全体に影響のあるような大規模システムの開発にトライできるエンジニアを必要としています。
10年以上前にPHPで開発したシステムを改修し続けてきたため、近年の技術トレンドや急成長した電子書籍ビジネスに合わせたスピーディーなシステム改修に対応をしていくことが困難になってきた側面があります。このため、近年の技術トレンドに合わせたフロント/バックエンドの分割や使用技術変更による保守性の向上、扱うデータ量の増加に伴うトラフィックへの対応など大規模なリニューアルを推進しています。

エンジニアが要件定義からしっかり参加、システム作りの一連の流れを学べる

― 大森さんは現在入社3年目でこのシステムのリニューアルメンバーとうかがっていますが、エンジニアにとって御社で仕事をする魅力はどういうところですか。

大森さん  エンジニアも要件定義から関わることができ、設計・実装・テストと全行程に携われることが魅力です。社内でシステムを使っている運用サイド、ビジネスサイドの人たちとコミュニケーションをとり、ビジネスサイドの人たちがヒアリングした出版社の要望も採り入れて仕様を固め、設計に反映していきます。その後、開発、テストと進み、さらに私は自分でつくったシステムの保守も経験しました。こうした経験を通して、システム作りの一連の流れを全て学べ、システム全体を見る力が養われたと思っています。

― ビジネスサイドが決めた仕様どおりにシステムをつくるのではなく、エンジニアが要件定義から入るのが御社では当たり前ということですね。また、システム作りの一連の流れを入社直後から経験出来るというのも魅力ですね。

大森さん  そうですね。エンジニアが要件定義から入ることが出来、システム作りの一連の流れを学べることは、エンジニアキャリアを構築する上で非常に良い経験をさせて貰っていると思っています。エンジニアであれば実装に目がいきがちですが、実際に経験してみるとどのフェーズも開発工程において非常に重要であると痛感しています。

関さん  当社は自社サービスを開発しているからこそ、エンジニアが要件定義から入っていけます。入社3年目のエンジニアでも、ウォーターフォール開発でいうところの要件定義、設計、実装、テストという一連の流れを上流から下流まできっちり任されます。しかもそれを大規模システムで繰り返し体験できる点は、ビジネス観点も踏まえたエンジニアとしての総合的な学びにつながります。ビジネスとしてエンジニアを続けていく以上は実装も非常に重要ですが、それだけではなく、その前後の要件定義や設計、テストで本質的でテクニカルな素養が求められると考えています。例えば要件定義に関しては、技術についての会話がきちんとできて、人に伝わる表現でドキュメントをつくれるように育ってほしいと考えて指導しています。

大森さん  実際、ビジネスサイドの求める要件を開発に採り入れる力はかなり広がりましたし、ビジネスサイドに何かを提案する際、その内容を言葉にする力も伸びたと自覚しています。

― 入社3年目というと技術的には何とか一人前といったイメージですが、御社では大森さんと同世代のエンジニアがみんなこのレベルまで成長しているんですか。

関さん  例えば大森と同期、入社3年目のエンジニアに、電子書籍流通システムよりは小規模ですが、1つのシステムをエンジニアサイドの責任者として任せています。そこまで任せられるかどうかのポイントは、技術力とビジネスへの感度の高さです。技術力が一定ある前提ではありますが、ビジネスへの感度が高いエンジニアにはシステム全般を任せることにより、エンジニアとしてより高みを目指せる環境を与えたいと考えています。

「実行力」が求められる技育プロジェクトに共感

― そういった教育方針の御社が、このタイミングで技育プロジェクトに参加することを決めた理由を教えていただけますか。

太田さん  私たちが一緒に働きたいと思っているエンジニアを表現するひとつのキーワードに「実行力」があります。何かやりたいことがあっても、実現するには結構なエネルギーが必要ですよね。やりたいことがあって実際にやってみると壁にぶち当たることも当然あります。特に今はメディアドゥが事業拡大のフェーズにあり、NFT関連の事業のような世界でまだ誰もやったことがない、正解もわからない領域に踏み込んでいます。こういう時こそ、困難な状況でもやりたいことをやり切る実行力が必要です。技育プロジェクトでは、学生エンジニアが様々なチャレンジをして、何かを実行するということが確実に求められているので、実行力のある方たちに出会えると考えました。

これまでは学生に対して、企業として一方的なアプローチしかできていませんでしたが、学生の成長の機会をつくり、学生と一緒に力を伸ばしていくことが技育プロジェクトならできると考えています。そうすることで、サステナブルに魅力的なエンジニアが生まれ続ければ、出版業界やIT業界にとってもプラスになると思って参加を決めました。

― 学生は何かを実行する機会にもなかなか恵まれないし、実行するには勇気もいる。実行力は御社にも、これからの社会にも求められるから、技育プロジェクトを通して実行力を養ってほしいという思いでしょうか。

太田さん  そうですね。エンジニア学生にはもともとものづくりへの興味がインストールされていて、機会さえあれば自然に自分で何かをやってみるものと思っています。そうした学生が技育プロジェクトに参加することで、伸びていくチャンスが見えてくるはずです。そこに価値があると思います。

― その点はまさに私たちが目指すところですから、共感していただけて嬉しいです。大森さんは学生時代、そういう経験はありましたか。

大森さん  私は、大学院の研究室に個人で開発に取り組む先輩がいるなど、環境に恵まれていました。ただ当時は北海道に住んでいて、東京で開催されているハッカソンには憧れていましたが参加する機会がありませんでした。

― 今ならサポーターズでもマンスリーハッカソンを開催しているので、当時それがあったら大森さんも参加できましたね。日々エンジニアを育てている関さんの立場では、この技育プロジェクトを学生にどう活用してほしいですか。

関さん  学生には、技育プロジェクトに参加して視野を広げ、視座を上げてほしいです。これからエンジニアリングを仕事にする以上、持っている知識をすべて発揮してプログラムを書いてほしいし、きちんとアウトプットしていって欲しい。それがその人のエンジニアとしての価値につながると思います。イベントやカンファレンスへの参加を通して、そういうマインドへの切り替えをしてもらえれば嬉しいです。