物流を支えるSGシステム 実務さながらのインターンと徹底した個へのアプローチで内定承諾率アップ
人手不足や燃料費の高騰、ドライバーの残業規制の強化によって物流の停滞が懸念される「2024年問題」など、多くの課題を抱える物流業界。SGシステムは、佐川急便をはじめとするSGホールディングスグループのIT統括企業として、ドライバーの配送順序、配送ルートを地図上でサポートするシステムや荷物の受け渡しをスムーズに行うためのシステムなどを開発しています。1983年の創立当初から新卒採用を続ける同社が大切にしているのは、学生一人ひとりとしっかり向き合うこと。SI第1事業部の小林太助さん、管理部 人材開発ユニットの和田直樹さん、山口成香さんに聞きました。
新卒エンジニア採用・育成のポイント
実務さながらのインターンで、参加学生の内定承諾者は10名以上に
インターンや採用プロセスの中で、学生一人ひとりへのフィードバックを徹底
若手には成長機会を。さまざまな経験を通し、自分のキャリアは自分で作る
テクノロジーで日本の物流を変える
小林:私たちは、佐川急便と共に、物流現場の業務負荷軽減に取り組んでいます。
例えば、地図情報よりルートの組み立てを行う外部サービスと当社システムを連携し、最適なルートや集配順序を自動で計算するアプリを提供しています。このようなアプリの開発等を通じて、ドライバーによる配送業務の効率化を支援しています。
楓:これらのシステムを開発するには、自社で保有するデータをどう活用するかが重要で、ドライバー1人につき集配にかかる時間が数分改善されるだけで、全国で何千時間、何万時間と変わってくるんですよね。社会課題の解決にダイレクトに貢献できる仕事です。
小林:そうなんです。加えて、物流の現場を悩ませているのが「不在率」の高さです。できる限り1回の配送で荷物を受け取ってもらうため、時間帯指定や置き配の選択を可能にするなど、ユーザビリティを高めつつ、ドライバーの負荷も軽減できる仕組みづくりに取り組んでいます。
若手にさまざまなチャンスが フラットなチームで成長を後押し
楓:エンジニア目線で、御社で働く魅力はズバリ何だと思いますか?
山口:当社は企画から、開発、設計、運用、保守までトータルにサービスを提供しています。そのため、プログラミングスキルやシステム知識だけではなく、業界全体の問題から業務に関する機微まで、多くの知見を身につけることができます。
和田:若手のうちからさまざまな経験を積めることもポイントです。3年目までは、開発を中心に技術をとことん磨いていきます。プロジェクトの内容は、新規開発に加え、サービス改修や大規模リプレイスなど多岐に渡ります。責任のある仕事をどんどん任されることになりますが、それがエンジニアとしての成長にもつながっています。
3年目以降は徐々に上流工程を経験し、5年目にはプロジェクトリーダーを担うことも。早い場合、8年目にはマネージャーとしてチームを率いているメンバーもいます。
こうした成長を後押しするために大切にしているのは、先輩・後輩関係なくフラットにコミュニケーションしながらプロジェクトを進めていくことです。個人とチームがともに成長していける組織を目指しています。
楓:それ以降のキャリアとしては、どのような道があるのでしょうか?
和田:主にマネージャーとして成長していく「ゼネラリストの道」、専門領域を極める「スペシャリストの道」があります。後者の場合、インフラやデータベースなど、その道を極めていくことで職階と給与がアップしていきます。自らキャリアの方向性を探っていけるのはもちろんですが、会社としてさまざまな道を提案できるのも、当社で働く魅力の一つだと思います。
山口:ありがたいことに離職率は非常に低く、年々メンバーが増えている状況です。
実務さながらのインターンで、内定承諾者は10名以上
楓:2023年卒から24年卒で、インターンの中身を大きく変えたとうかがいました。
山口:そうなんです。23年卒のインターンは、架空の自社と顧客を設定し、「架空の顧客が困っていることを、架空の自社のソリューションを使ってどう解決するか」という内容でした。
24年卒は、これを大幅にリニューアル。「1Day仕事体験」と銘打ち、当社の実案件をモチーフに、実際の業務内容に近い形のインターンを実施しました。具体的には、コロナ禍でわれわれのグループが自治体へのワクチン輸送を手掛けたのですが、このシステムの要件定義や分析を体験してみようと。現場のエンジニアにも何度もヒアリングし、実務さながらのプログラムを作っていきました。これが非常に好評で、参加した学生の内定承諾者は10名以上となりました。
楓:普段の業務をリアルに感じられたことが功を奏したのでしょうか?
山口:そうですね。加えて、インターンに参加する学生のモチベーションを調査したところ、「新たな学びがあるか」「スキルアップができるか」を重視していることが分かったんです。そこで、ロジックツリーを用いて論理的思考法を学ぶ機会を作り、「エンジニアとして成長する上では、こういう論理的思考がすごく大事」といったこともお伝えしました。こうした工夫が、学生の皆さんに受け入れられたのかなと思っています。
採用プロセスの中で、学生一人ひとりへのフィードバックを徹底
楓さん:インターンでは、学生に対するフィードバックも行っているんですね。
山口:はい、しっかりとフィードバックを行いましたし、インターンの間も積極的に話しかけ、密にコミュニケーションをとっていました。ですから、インターンに参加してくれた学生の顔と名前はよく覚えています。
楓:これって実は、とてもすごいことなんですよね。1Dayインターンの場合、集まって解散して終わり。特にフィードバックがないケースが多いと聞きます。
山口:短い時間であっても、学生としっかり向き合う覚悟が大事だと思います。せっかく時間を割いて参加してくれているので、一つでも多くのことを持ち帰ってほしいです。
インターンに限らず、24年卒は学生一人ひとりをしっかりとフォローをしていく、ある意味ちょっと泥臭い動きを続けていました。例えば、説明会で質問をいただいたら、後から深掘りした回答を送ったり、問い合わせをいただいたら丁寧に返すだけではなく、あとで少し時間をもらってオンラインでも説明し、より深く対話をするということもしていました。
それから、面接後のフィードバックですね。部長面接以降は、必ず一人ひとりにフィードバックを行っていました。「こういうところがすごく良かったです」「◯◯さんのこういう考えに共感します」という内容が多かったかなと思います。
楓:本当に素晴らしいですね。「学生一人ひとりと向き合いたい」と思っていても、限られた時間の中で実際には難しいという会社がほとんどだと思います。それで苦しんでいる人事の方もたくさんいらっしゃいます。それを「ちゃんとやろう」と覚悟を持って取り組んでるところが、採用成功の理由だと実感しました。まさに「ラストワンマイルのヒューマニティ」ですね。
学生の皆さんからはどんなリアクションがありましたか?
山口:内定承諾の決め手として、「人事や面接官の対応がとても良かった」「親身に話を聞いてくれた」などを挙げてくれる学生が多く、私たちもうれしくなりました。心に響いてくれて本当に良かったと感じています。