技育CAMPハッカソンレポートvol2
■技育CAMPとは
技育CAMPとは、エンジニアを志す学生の皆さんにハッカソンと勉強会を通して、継続的なインプットとアウトプットの場を提供するスキルアップ支援プラットフォームです。
ハッカソンは月1-2ペースで定期開催され、メンターや賞金もある充実のサポート体制をご用意。ただ自称「日本一参加ハードル低いハッカソン」として毎回6割以上が初ハッカソン勢という初心者向けハッカソンです。
2021年は約5,000名が参加し、約280作品が本ハッカソンから誕生しました。
技育CAMP
■今回のハッカソンテーマとルール
はじめてのハッカソン~オンライン開発合宿vol.2~
5月のハッカソンテーマは「はじめてのハッカソン」
ハッカソンに参加し何か動くものを作りたい人向けのテーマです。
授業や趣味でプログラミングはしているけど、実際に創ったことはない。
就活を見据え何か成果物といえるものを創りたいけど、ずるずるここまで来てしまった。
開発インターンやアルバイトの予定もないけど、何か一つ頑張った証を残したい。
そんな学生エンジニアの物創りの第一歩として、挑戦しやすいテーマを設定しました。
なんと賞金も出ます。
最優秀賞:10万円(1チーム)
努力賞:1万円(複数チーム)
参加賞:1,000円(全員)
という、2dayハッカソンとしては異例の賞金額!
また、参加するだけ(正確にはプレゼンまで行うと)参加賞までもらえる、非常にお得なシステムとなっています。
(全て支援いただいているスポンサー企業さんのおかげです。感謝!!)
参加者属性
5月21-22日開催の「はじめてのハッカソン~オンライン開発合宿vol.2~」の参加者属性をまとめました。
今回のハッカソンでは、高校生からの参加もありました。幅広い学年がハッカソンに参加してくれたおかげで、活気のあるハッカソンになりました。
今回のハッカソンの参加者は24年卒が一番多く参加しています。
そんな中、ハッカソン開催直前にこんなツイートを見つけました。
「誰もいない研究室で、一人で参加してまーす」
チームを組みハッカソンに参加する人が多くいる中、たったひとりで参加するのは大変なことだけど、今回のハッカソンで何か気づきや知識が得られたら嬉しいなあと思います。
■ハッカソンスタート
Twitter上から技育CAMP参加者のハッカソン参加への声を集めました。
さあ、2日間みんなで頑張りましょう!
■ハッカソン中の様子
ハッカソンは2日間となり、初日の11時から2日目の15時までの合計28時間で開発を行います。(希望者は1週間前のキックオフからの開発はOK)
オンライン開催のため、チームごとに自宅や研究室から、様々な場所で開発を行います。
運営側で3名のメンターも常時サポートできるようになっており、質問や相談を随時slackやZoomで受け付け、一緒に考え、一緒に問題解決をしていきます。
■いよいよプレゼン!
28時間の開発を終え、2日目16:00〜はいよいよ成果発表プレゼン!
約25チームが3分間のプレゼン時間で発表していきます。
アプリからWebシステム、ゲームなど参加したみんなが自由に制作したい物を開発しました。
この章では、発表されたプレゼンを一部抜粋して紹介しています。
■結果発表
いよいよ結果発表です。
審査は学生メンター2名とサポーターズ代表の楓さんが務めます。
今回努力賞6賞と最優秀賞の計7章が表彰されました。
今回は発表方法も工夫したチームが多く見られました。開発はもちろん重要ですが、自分たちの成果をほかの人に分かりやすく伝えることも重要です。
デモ動画を用意し、開発したシステムが分かりやすい写真を用意したり、みんなの創意工夫がとても感じられました。
努力賞1
栄えある努力賞1チーム目は、
㉒beaker24「ファニープレゼントアドバイザー」
でした!
このアプリは友達に贈るプレゼント選びに悩んだとき、代わりにプレゼント案を提案してくれるWebアプリです。
beaker24は、特にUIにこだわって開発をしたそうです。使いやすさを重視し、シンプルなUIで作成されています。
またファニープレゼントアドバイザーの世界観を表現するために、StreamLit内にhtmlを組み込んだそうです。
●講評
(楓さん)
「ファニープレゼントアドバイザーは、非常にシンプルだったなと思います。シンプルというのは、非常に大切です。
ハッカソンをやっていく中で、あれやこれをやりたいとなる中、機能を絞り、自分たちの世界観に合う物を選び、そぎ落としていくこと実行していた。自分たちの世界観を守ることに徹底している点が純粋にすごいなと感じました。おめでとうございます」
●受賞チーム代表ひと言
(チーム代表)
「ありがとうございます。前回、4月のハッカソンで翻訳アプリを作ったのですが、そのときも1番最初に努力賞で表彰されました。今回、また1番で呼ばれて嬉しかったです」
努力賞2
栄えある努力賞2チーム目は、
⑭Idea×Tech「Muscle Online」
でした!
このアプリは筋トレを楽しく続けるために、人と競いながら筋トレを行なうことができるモバイルアプリです。
Idea×TechはMuscle Onlineを開発するために、事前アンケートを実施してハッカソンに参加しました。
アンケートは全4問。筋トレの継続日数や継続できなかった理由などを調べ、今回のハッカソンに備えてきたそうです。
●講評
(メンター笠原さん)
「アイデアとして、楽しく筋トレをしたいというときに他人と競う筋トレバトルをしようっていう発想がすごく筋肉な感じで良かったなーっていう風に感じました。
さらにハッカソンを開催する前に短い期間でアンケートまでとってちゃんと根拠を示していたっていうのがいいなあと思いました。受賞おめでとうございます」
●受賞チーム代表ひと言
(チーム代表)
「努力賞取れたのは嬉しいんですけど、やっぱり最優秀賞をとりたかったので、これからも開発して色々と頑張っていこうと思います。ありがとうございました」
努力賞3
栄えある努力賞3チーム目は、
⑤ 金欠「某ブロック崩し」
でした!
チーム金欠はひとりチームで参加し、某ブロック崩しを制作しました。
はじめてのゲーム制作で、ひととおり動くゲームの完成度が今回評価されました。
今後はエフェクトやグラフィックなどのUI周りの強化や2人用の通信対戦も設計を検討しているそうです。
●講評
(メンター山河さん)
「まずこの某ブロック崩しは一人チームなんですよね。それでも、あんなにたくさんの機能を実装して、本当にすごいなと思ったっていうことで、本当に素晴らしいと思います。自分でも今後どうするかって言う課題も見つけていたので、とても良かったです。おめでとうございます」
●受賞チーム代表ひと言
(チーム代表)
「なんかめっちゃびっくりしてて、全然コメント出てこないけどなんかちょっと一人で色々大変だったところがあったんですけど、できる限りしっかりはい努力して、上手い事を皆さんにお見せできて良かったなと思います。やったー!1万円でちょっと焼肉を食べに行きます」
努力賞4
栄えある努力賞4チーム目は、
⑲Meron「Calorie Calculator」
でした!
このWebアプリは、料理の写真を撮影し、そこから料理のカロリーが算出できるアプリです。
まず料理の写真を撮り、料理名を識別し、料理名からクラシルでスクレイピングを行い食材を検索し、食材栄養素データベースからカロリーや栄養素を算出する流れとなっています。
料理名の識別は、機械学習モデルを用いた画像認識を行なったそうです。
また今回はWebアプリだけでなく、androidアプリの開発にも挑戦したそうです。
●講評
(メンター笠原さん)
「まずはハッカソンの短い期間で、ちゃんと自分たちでモデルを作っているのがすごいなと思いました。
Google のイメージ API を使う手段もあったと思うんですけど、ちゃんと自分たちでモデルを作って実装しているっていうのが、まず一ついいなというところですね。
あとAIは誤分類をするが、ちゃんと誤分類したらこういう風に直せますよっていう感じなのがヒューマンフレンドリーだなと思いました。
みなさん改善点とか色々考えていると思うんですけど、見ていてなんとなくUIがシンプルだなと感じました。なんとなくオシャレすぎだなって感じがするので、もうちょっとこう一目でわかりやすいUIにするといいかもしれません。
あとレシピ名の修正だけじゃなくて、実際の材料の修正とかも出来たらもっとよくなるんじゃないかなという風に考えているので、ぜひ開発を続けていって、より良いアプリにしていただければなと思います」
●受賞チーム代表ひと言
(チーム代表)
「ありがとうございます。全然コメントとか考えてなかったんで、すごくあたふたしてるんですけど嬉しいです。AIの部分もこの二日間以外で準備していて、その前から結構AIのところをどうするかっていう部分をメンバーと議論していたので、そこが評価されたのはすごく嬉しいです。ありがとうございます」
努力賞5
栄えある努力賞5チーム目は、
㉑緑雨「ほめにっき」
です!
ものづくりをしている時、「これでいいのかなあ」や「誰も使わないよなぁ」と思って開発をやめてしまうことがあります。
このWebアプリは誰か褒めてほしいというニーズに応えるものです。
ほめにっきは、ユーザーが日記の内容を入力すると、褒め文を生成し、音声でユーザーを褒めるというシステムになっているそうです。
褒め方として、数パターンの雛形からランダムに褒め文を作って褒めてくれます。
●講評
(メンター山河さん)
「ほめにっきは個人的に一番いいなと思っていて、特に着眼点がいいなと思いました。人間は褒めてもらえると嬉しくなるので、自分がやって欲しいなって思うことに対して技術でアプローチしている点はすごく良いと思います。
作ったアプリの中身も、文章が綺麗に作られるように雛形をつくったり、文章を読み上げる機能をつけていて、細かい工夫が見られたのがとても良かったです。
ぜひ今後Webサービスとして、展開していただけると嬉しいなと思いました」
●受賞チーム代表ひと言
(チーム代表)
「ありがとうございます!!チームメンバーも「マジですか!」「やったー」といったコメントが届いていて、とても喜んでいます。本当に優勝できると思ってなかったんで、すごく嬉しいです。
他のチームメイトと相談する必要があるのですが、今度の技育展があったと思うので、もし他のメンバーもやろうぜっていう雰囲気になったら、今回ちょっとうまくいかなかったその音声合成を実装して参加したいです」
努力賞6
栄えある努力賞6チーム目は、
⑪おだやかPJ「理想と欲望」
です!
このおだやかPJは、ひとり参加のチームになります。
内容はオンライン授業の受講生の理想と欲望を叶えるアプリケーションという位置づけで、
下記4種類の機能を備えたアプリになっています。
・睡眠防止機能
・「なんか面白いこと言って」対策機能
・頑張ってもいない頑張り自慢機能
・読まずに資料理解機能
このアプリの開発をするために、おだやかPJさんは多くの挑戦をしています。
画像処理
自然言語処理
音声処理
など様々な技術を使用し、2日間で仕上げたとは思えない制作物になっています。
●講評
(楓さん)
「まず課題の設定が、みんなの直近の課題だったところです。授業がオンライン化されてなど共感される課題だったという部分に対しての解決策みたいなものを色んな手を使って、実際に動くところまで実装していたっていうところがまず一つ。
個人的にはそれと同じぐらいですね、プレゼンのやり方という挑戦がすごく良かったなと思っています。
最初のアニメーションもそうですけど、その後のディズニー形式で話していくとか、ちょっとトラブルはありましたけど、何だ、何だって人を惹きつけるやり方っていうのは、すごく重要だと思っています。他の学生投票もけっこう入っていましたし、みんなの中で結構印象が残ってると思うんですよね。
やっぱりアウトプットやプロダクトがどうかっていう部分も大事だが、どう伝えるかっていうところ、そこの努力もしっかり最後まで抜かりなく行ってきたっていうところが良かったなと思います」
●受賞チーム代表ひと言
(チーム代表)
「ありがとうございます。今までグループでは参加したことあったんですけど、すごくチームメンバーに助けられてきた。でも個人の力を試したくなり、今回ソロで開発しようと思い参加しました。その努力が評価されてめちゃくちゃ嬉しいです」
最優秀賞
今回参加したチーム数は、全体的にレベルが高く、2日間でひととおり動くシステムが作られていました。
そんな栄えある「はじめてのハッカソン~オンライン開発合宿vol.2~」最優秀賞に表彰されたチームは、
⑳すっぽんグランプリ2022「MusicExplorer」
でした!!!
このサービスは、サブスクで大量の音楽が聴けるようになった現代における音楽好きの悩みを解消するためのものです。
背景として、大量の音楽の中から好みの曲を探すのに時間がかかります。
このシステムは、検索したアーティストの楽曲情報をグラフにプロットし楽曲の分布を作ることで、自分の好みに近い新しい曲を発見する事ができるそうです。
このシステムのすごいところは、同一の曲(LIVE ver や instrument ver)が取得されてしまい、グラフが見づらいという問題を対策した点です。
曲同士で名前を比較して、その類似度を計算し、同じ曲とみなされるものは原曲だけを残して、取得しないようにしたそうです。
●講評
(楓さん)
「まずシンプルに僕は発表を聞いていて、一番扱いたいなって思ったものでした。
普通に使いたいなと思って、単純にそのアイディアもそうですけど、あと実際その UI とかデモしか見てないですけど、その確からしさ、バックグラウンドが学術的なところも含めてなんかちゃんとしてそうだなと思いました。
なんかここはシンプルに使いたいなって思ってたのが、やっぱり今一番大きいかなという風に思っています。
学生投票でかなりの割合を占めていました。おめでとうございます」
(メンター笠原さん)
「最優秀賞おめでとうございます。今回重複した曲名でも、こういうバージョン違いがあるよねみたいなところに気づいたりとか、あと軸表現に表示してなんかお気に入り曲も一緒に表示できるみたいなそういう細かいところを、ちゃんとご自分たちが使った時にこういうところ気になるよねみたいな所にフォーカスして、その課題を解決しようと動いていたところが、すごく良かったと思いました。
あと、グラフ上にプロットした点を押すとすぐに再生できるのもいい。グラフ上に表示するっていうことで、いろんな軸で考えていけるので、拡張性もすごいあるなと思っています。
感情表現とかはラッセルの円環モデルを使ったり、BPM とかテンポみたいなところで、色んな軸で、そのユーザーがこういうテンポ速い曲好きだよねみたいなところで、ベースとなるところを使い回して、いろんな発展ができそうだなーっていう風に考えました。
是非そういうところにもチャレンジして、より良いものを、音楽を探すならこれっしょくらいのアプリに成長できるような可能性を感じたので、ぜひ開発を頑張ってください」
(メンター山河さん)
「まず本当に色々とすごいなと思ったのですが、特に同じ結果だけど重複しないようにする工夫が良かったです。同じ曲名でもライブverやインストルメンタルverなどと重複しないようにしている点が良かったです。
またちゃんと動くシステムができていること。学生さんからも使ってみたいという声がたくさんあったので、ぜひみんなが使える形で出して欲しいです」
●受賞チーム代表ひと言
(チーム代表)
「ありがとうございます。本当に結果が信じられないくらいで、驚いてるんですけど、やっぱり自分一人で最優秀賞は取れなかったので、即席チームだったんですけど、本当に集まってくれたメンバーの人達に感謝です」
■全体講評
(メンター笠原さん)
「皆さん本当に二日間お疲れ様でした。今回のハッカソンは、すごく参加者のレベルが高く、見ていてすごい楽しかったなーっていう感じでしたね。
一人チームも結構多かったですがチームに負けない熱量で頑張っていて、すごいなんか活気あって楽しそうだなぁと思いながら見ていました。
そしてプレゼンとかもすごい趣向を凝らしたものがたくさんあって、本当にここ二日間飽きずにみんな楽しめていたらいいなと思った感じでしたね。
ここがスタートだと思って、是非入賞できた方も賞が取れなかった方も、ここで一旦一区切りつけて、ここから新たなスタートラインだと思って、ものづくりを是非続けて欲しいなと思います。これからも頑張ってください、お疲れ様でした」
(メンター山河さん)
「この2日間お疲れ様でした。そうですね、皆さんこの期間を通して本当にいろんな面ですごく成長したんじゃないかなと思います。
技術的なことも色んなことにチャレンジしたということや、技術面以外でも一緒にチームで開発をするのが初めてという方もたくさんいました。緊張したと思うけど、いい経験になったんじゃないかなと思います。
これで終わりにするんじゃなくて、新しいものを作ったり、今回作ったものをアップデートしてほしいなと思います。また今度のハッカソンで会えるのを楽しみにしています」
(楓さん)
「本当に皆さんよく作ってくれたなと思っています。
受賞を逃した方も他のハッカソンの回だったら、最優秀を受賞してもおかしくないっていう作品もたくさんあったというところで、レベルが高かったなあと思っています。
あと何よりも、これは受賞することが目的のハッカソンではないので、参加してアウトプットすることが目的です。
完成させることが目的のものではなく、とにかくなんか頑張って手を動かすっていうことだと思ってるので、改めて自分たちが成果発表までしたことを自分自身で褒めてほしいなという風に思います。
メンターの二人も言ってましたけど、ここはスタートでしかなくて、多分皆さんこれを作りたかったっていう状態を100だとすると、たぶん最優秀賞を取ったチームもまだ100には全然遠いんです。
全然だめだった、できなかったって言ってる人が1だとしても、結局それは1か10かの違いで、みんなまだまだ100には程遠いんですよ。
100なんて簡単にいかないし、もちろん2日でできるわけがなくて、元々何ヶ月何年やって少しずつ100に近づいていくってことだと思うので、そういう意味で言うとまだまだみんなはスタート地点でしかないと思うんですよね。
まだまだここからだと思うから、このまま続ければ、今全然遠いと思ってる最優秀賞の人達も頑張れば抜けるかもしれないし、最優秀賞を取った人も抜かれないように、もっと頑張って欲しいと思います。
ここから次第だと思ってるので、そのために僕らとしても技育CAMPやハッカソンも毎月開催をしているし、さらに大きな技育展というピッチコンテストはもっと大きな場としてご用意しておりますので、是非これをスタートしてやり続けてほしいと思います。
本当に皆さんお疲れ様でした。」
■懇親会
サポーターズ代表の楓さんは、いつもこう言っています。
「懇親会までがハッカソンだ」
友達をつくる。知り合いを増やす。
コロナ禍で横のつながりが減り、情報が新しく入りづらい今の時代に懇親会は貴重な機会です。
懇親会はZoomのブレイクアウトルームを使い、数チームに分かれて懇親を深めました。
■ハッカソン後の声
Twitterで5月21日、22日技育CAMPハッカソン参加者の声をご紹介します。
ということで、技育CAMP2022年5月は無事終了いたしました。
サポーターズは、物創りに挑戦し、日本の未来を変えるギークなエンジニアを応援しております。